落語のまくら。今日の小噺
落語のまくらというのは、演目への導入のを指す場合もあります。導入だけではなく、お客さんの様子を見ながら、お客さんの質というか、どういうお話をするのが良いのかを探ったりする道具としても使われます。
また、演目に入る前に、お客さん引きつけ、温めるということも、この枕のところでします。
忍者
休日の昼下がり。若者ふたりが山道をドライブしていると、急ブレーキ。
「うわっ、どうした?」
「さっきのカーブに、忍者がいたんだ」
「忍者?この時代に?」
「いや、いたんだってば」
路肩に車を止め、ふたりが戻ってみると確かに忍者がいた。
黒ずくめの忍者衣装で、背中には刀。はいつくばるようにして、アスファルトにぴったりと耳をつけている。
「うわ、本当に忍者だ!」
「何かしゃべってるぜ」
「…赤のスポーツセダン。運転席には20代男性。助手席は20代女性。現在、時速80キロで南に向かって走行中」
「すごいよ! ねえねえ、忍者さん。どうしてそんなことが分かるんですか?」
「いま、その車に、ひかれた」
今日はこの辺りで。
おあとがよろしいようで。