江戸の小噺 十と二つ
【蛸(たこ)】
蛸がこう、あまりの暑さに,橋の下へ出て,昼寝をしているおりまして。
そうしましたら、この蛸を猫が見つけましてな。
足を七本食べてしまいました。
一本だけ残しておいたんですな。
蛸が目をさましましたら、さあ大変、足がない。
「名無三(しまった)、足を食われてしまった。ちくしょう」と。
ふと見ますと、猫がそら寝いりをしているじゃないですか。
蛸、あの猫が足を食べたに違いないと思い、仕返しをしてやろうと
残った一本の足で、猫をじゃらしなが海へおびき出そうとするんですな。
そうしましたら、猫が
「その手は喰わん。」
蛸、おいしいですよね。本日もよろしくお願いします。
猫
ある商家の旦那がお得意先から可愛い子猫をもらって来た。
旦那 「番頭さん、この猫に名前をつけてやっとくれ」
番頭 「強そうな名前で弁慶はどうでしょう」
旦那 「そうか、じゃあ弁慶としよう」
定吉 「弁慶よりもっと強いものがあります。牛若丸の方が強いです」」
旦那 「じゃあ、牛若丸といしよう」
亀吉 「牛若丸より鞍馬の天狗の方が強いです」
旦那 「なるほど、じゃあ天狗だ」
お清 「天狗さんが羽を休める杉の木の方が強うございます」
旦那 「うん、杉にしよう」
松吉 「杉よりもそれをなぎ倒す風の方が強いです」
旦那 「そうだな、風か」
亀吉 「風は塀が止めます」
旦那 「それじゃ、塀だ」
お茂 「塀よりもそれに穴を開ける鼠に方が強うございます」
旦那 「そうか、この猫の名前は鼠か」
奥さん 「鼠より猫の方が強いです」
旦那 「そんなら、やっぱりこの猫の名はネコじゃ」
どこかで聞いたような話です。
やはり猫は強うございます。
また、かわいらしいんですよね、ヘルメットをかぶったはちわれなんかは。
なんの噺かわかりませんが。
本日はこんなところで。