上方落語 小噺
上方の落語は、落ちが分かりやすくなっているようにも思いますが、その分きっちりと笑かしてくれます。
そこが面白い。
ちょっと小噺でつないどきますね。
これは丁稚さんに限らず我々でもそぉですわ、あれは癖になりますねぇ、あのお通じといぅやつは。夜中に行くといぅ習慣ができると、もぉ必ず夜中に、その時間になったら行きとなりまんねんあれ、難儀なもんですわ。
その丁稚さんが毎晩まいばん、夜中にもぉ眠たい目ぇこすりながらお手水へ行く癖がついてしもたら、やっぱり先輩が教えてくれるんですなぁ。
「そぉいぅ時にはマジナイがある。夜中行ってそのお手水、用足す時に下のほぉを見て『明晩から、よぉ参じまへん』と、こない言ぃ。ほな明日から、その次の晩から、その時刻がきても催さんよぉになるんや、こらマジナイや」
「えぇこと教えてもらいました」ちゅうて、その子ども衆(し)さん、トイレ行ってでんなぁ、昔の商家の便所ちゅな夜は真っ暗で恐いもんですわいな、目ぇこすりながら教せてもぉたとぉり、
●明晩からよぉ参じまへん
▲そぉ言わんとまたおいで
●ギャァ~~ッ!
こら腰抜かしますわいな、ビックリ仰天して、さぁ家中のものが来たけれども別に何もない「そら寝ぼけてたんや」ちゅうて次の日ぃ「もぉよぉ行かん恐い」ちゅうのを「まぁわしが付いて行たるさかい」
●明晩からよぉ参じまへん
▲そぉ言わんとまたおいで。
みんな聞ぃた、さぁこぉなるとえらいことでございます。加持祈祷やとかやってもろぉてもなかなかこれが収まらん「どぉしたらえぇやろ?」といぅと、やっぱり町内に事の分かった年寄り、何でも知ってる年寄りちゅうのがおりまんねん。
落語に出てくる甚兵衛はんみたいなやつが、この、どこの町内にもおるんですなぁ「わしが見てやろぉ」ちゅうわけでやって来て、ズ~ッと調べる。
落とし紙が積んであります「これは?」っと見たら、これが証文やとか帳面の古なったやつをこぉ適当な大きさに切って、もったいないちゅうわけで、それをこぉ落とし紙に使こてたんですなぁ。
■これを落とし紙に使こてんのか?
▲そぉでんねん
■これがいかんがな、これが言ぃよったに違いない
▲何ででんねん?
■書いたもんがもの言ぅがな。
春団治師匠も良かったですよ。