高富屋のネタ帳

小噺ネタを上げます。落語が好き!!

江戸の小噺

今日も小噺ネタを一つ。

昔から、しわい屋なんて言いまして、ケチで、ケチで、自分のお金を出したがらないのがいます。

今日のネタは、その「しわい屋」。

 

 

 

しわい屋

 しわい屋は、七十五日、早く死ぬ、なんてぇ川柳がございます。

ある、大変にけちな方が、往来で薪を一本見つけました。

拾って帰れば、燃料の足しになるんですが、近所なので手を出して拾うのがみっともない、ってんで、この薪をけっとばしまして、

ポンスコ、ポンスコ、ポンスコポンスコ、自分のうちの前までまいりました。

あとひとけり、なんてんで、ポーンとけとばしましたが、

なにしろ、蹴る事ですから、見当が外れまして、自分のうちのガラス戸にぶつかります。

ガラスが二枚程、割れまして、これを見て驚いた。

しわい屋「あれ、あの薪一本のために、ガラスを二枚。」

ってぇと、あんまり刺激が強い。

そのまま、「うーん。」なんてんで目を回してしまいます。

近所の方が驚いて、水飲ませたり、薬を飲ませたりしますが、

これがなかなか息を吹き返しません。

するとそこへ、その方の倅さんが帰ってまいりまして。

近所の方「ああ、息子さん、いいところへ帰ってきました、あなたのおとっつぁんが

気絶をしましたよ、気絶を。水飲ませても、薬飲ませてもだめ、早く介抱して、介抱

して。」

するってぇと、息子さん。

「はは、父がまた気絶をしましたか、いや、ちょいちょいやるんですよ。どうも留守

の間に、御無理を願いました。」

てえと、息子さんの方は、わりかしと落ち着いているんですな。

どうするのかと思いますと、台所へまいります。柄杓に水を汲みまして、それを自分の口に含みますと、おとっつぁんの顔、めがけて、ぷっぷっーっと、水をかけまして。

息子「おとっつぁん、しっかりおし、今の薬は、ただだよ。」

ったら、「うーん。」と目をさました。

 しわい屋:ケチで吝嗇のこと。

 

また、昔から子供というのは生意気を言うもので、次はその生意気を言う子供の噺

 

じゃぶじゃぶ

 

 近ごろは生意気な子供が増えておりまして、うかうかしてると、大人でもやり込められ

てしまいまして。

 

子供 「おじさん、落語家やってるんだって。」

落語家「へぇ、さようでございますが。」

子供 「じゃ、小噺、知ってるかい。」

落語家「そりゃ、小噺のひとつやふたつ、知ってますけど。」

子供 「じゃ、こんなの知ってるかい。」

落語家「へぇ、どんなのですか。」

子供 「むかーしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがあったんだ。」

落語家「あのね、坊っちゃん、それは小噺じゃなくて、昔話、おとぎ話ってんじゃ

    ありませんか。」

子供 「いいからだまってお聴きなさいよ。それで、おじいさんは川へ洗濯に行っ

    たんだ。」

落語家「へえ、じゃ昔のおとぎ話と逆ですな、おじいさんは川へ洗濯なら、おばあ

    さんは山へ芝刈りですか。」

子供 「そうじゃねぇんだな。おばあさんも川へ洗濯に行って、二人でじゃぶじゃ

    ぶ、じゃぶじゃぶ洗ってたんだ。」

落語家「へえへえ、それから。」

子供 「これでお終い。」

落語家「お終いってね、坊っちゃん、小噺ってのは、落ちが肝心なんですよ、その

    噺じゃ、落ちが無いじゃあありませんか。」

子供 「落ちないから、洗ってたんだい。」

 


とまぁ、今日はこんなところで。

ではまた明日。

 

 

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