高富屋のネタ帳

小噺ネタを上げます。落語が好き!!

江戸の小噺 十と一つ

 

夫婦の会話

「ねぇ、あなた。たまには外で食事を摂るってどうかしら?」
「おっ、いい話だね。なんだか昔の二人に戻れそうじゃないか。」
「そうね、毎週1回、曜日を決めて行くといいと思うんだけど、どうかしら?」
「うんうん。ますますいい話じゃないか。楽しみだなぁ。」
「じゃあ、私は今度の土曜日に行くから、そうね、あなたは来週の月曜日にでも行っていただけるかしら。」

 

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まぁ、粋な夫婦もあったもんで🤭

 

さてもご無沙汰してます。

本日も宜しくお願いします。

 

化け物

ある女の亡者が、地獄のえん魔大王の前へ進みでまして。

亡者「えん魔大王様、私の亭主は、他の女と一緒になりたいばかりに、わたしを殺しました。恨んでも恨みきれません、どうか幽霊になって亭主を懲らしめてやりたいと思いますので、どうか、私を幽霊にしてくださいませ。」
えん魔大王「なに、幽霊とな、ううん、いかん、その方の顔を水鏡で見てみよ、幽霊にもいちおう、品位と言うものがある、その方を幽霊にする訳にはいかん。」
女の亡者が、そこで泣き崩れますと、そばにいた鬼が、哀れと思いましたか。
「これ、その方が、幽霊と申すからいけないのだ、化け物と言って願え、化け物と。」

 

酷い話です、夫婦もこうなっちゃうと。

 

 

閻魔さまのいうとおり

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今日のところはこれでご勘弁を。

 

<p

上方の落語 米朝師匠の書下ろし。

上方の落語です。
江戸の話とは異なって、鳴り物がありまして、演題も用意してあります。
もちろん、噺家だけがでてくるのもあります。

初めての試みです。

上方落語の、時うどん。
江戸は時蕎麦、上方はうどんです。

 

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 しばらくのあいだのお付き合いでございます。

 「ひと声とみ声は呼ばぬ卵売り」面白いことが言ぅてございますねぇ。ひと昔前はみな、あのなんでございますよ、物を皆さん方が、お商売の方が売りに来たのでございますねぇ。

 前と後ろのカゴにそれぞれの品物を入れまして、朸(おぉこ)天秤棒といぅやつでこぉ差し担いにいたしまて、大きな声、いわゆる売り声、立て前といぅやつをあげまして売りにまいったもんでございます。

 どぉいぅもんですかこの、売り声がふた声に決まっておりましたそぉでございます。

「ひと声と、み声は呼ばぬ卵売り」

卵屋さん「たまごぉ~、たまご」

ふた声でございます。面白いもんでございますねぇ。

「たまごぉ~、たまご」

 ひと声で終わるかな、と思うと終わりません。
必ずあとに「たまごッ」
といぅのが付くのでございます。

「たまごぉ~、たまご」

面白いもんでございま

すねぇ「たま……」何べんやってもおんなじですけどね。

 ふた声に限ったもんで。
なぜふた声かと申しますと「ひと声と、み声」は
具合が悪いんでございます。

ひと声で「たまごぉ~ッ」「どぉ~れぇ~ッ」
玄関番が出てまいります。

 み声も具合が悪い
「え、たまごたまごたまご」「たまごたまごたまご」
後ろから誰か追いかけて来るのかな? 
といぅよぉな具合が悪いですね。
ふた声に限ったもんでございます。

 花屋さん「花ぁ~、はな」綺麗なお商売「花ぁ~、花の苗」
綺麗なお商売でございますねぇ。

大根屋さん「だいこ、だいこ」「だいこ、だいこ」
大根屋さん「だいこん」とは申しません「だいこ」と申しますね。
「ん」の字ございません、欠如いたしておりますね。

 どこへ行っているかと言ぃますとゴボウのほぉへ回っているのでございま
すねぇ。
「ゴボウ」は「ごぼう」とは申しません。
「ごんぼ、ごんぼ」「ごんぼ、ごんぼ」
ゴボウは「ごんぼ」と申します。

 大根の「ん」の字が、お友だちのゴボウのほぉへ応援に回っているのでご
ざいます。なぜ応援するか? と言ぃますと、ゴボウ単独では売り声になり
にくい。

「ごぼ」「ごぼ」「ごぼごぼごぼ」

沈んでしまいます。

 「さ~おだ~けぇ~~……」
呼吸の練習をしているわけですね、どれぐらい出るかいなぁと思てやったんですが、
あんまり出んもんでございますが。
これは竿竹屋さん、ひと声だけでございますね。これは別の趣向でございます。

 物の形、形状、シェイプを表わしたもんでございますねぇ。竿竹といぅも
のは細長ぁ~がいもんでございますから、細長ごぉ~引っ張りまして「さ~
おだ~けぇ~~」長けりゃ長いほどええんやそぉで、長い竿竹一ぺん買ぉて
みよかいな、といぅよぉな気がするのでございます。

 面白いもんですね。竹の子屋さん。

「たけぇのこぉ」

竹の子その形に下から

「たけぇのこぉ」「たけぇのこぉ」

マッタケ屋さん

「ま~たけぇ」

マッタケは上から「ま~たけぇ」ウソかホンマか知りません。

 こうもり傘の修繕
「かぁさぁ~、こぉ~もりがさの、はりかえ」
一ときはこうもり傘の修繕によくやってまいりました。
今はもぉ何でも使い捨てでございます。
あれは一ぺん傘を広げまして傘のところから柄のところ、最後柄
の曲がったところまでを表わしたもんやそぉでございますねぇ。

「かぁさぁ~、こぉもりがさの、はりかえ」

 印肉屋さん、今は何とかネームいぅてね、ペチャペチャやるわけですが、
昔は印肉といぅものに判をなにしてチョンと捺したもんでございますね。
あの印肉の詰め替えによくやってまいりましたね。

「イン~ッ、にくのつめかえ」
「イン~ッ、にくのつめかえ」

押さえつけたもんでございます。

 磨き砂屋さん、まだ洗剤のありません時代、磨き砂ですね、おじさんが小
さな車押しまして

「みがぁ~きずなぎゃょぎゃょぎゃょ」
ジャリジャリになってます、面白いもんでございます。

 これが四季によっても違うのでございます。夏の売り声といぅものは何と
のぉ、のぉ~んびりといたしまして、聞ぃてる者の眠気を催すのが夏の売り
声の特色でございます。聞ぃていると眠たぁ~くなってくる。

 「よ~しや、すだれは、いりまへ~ん」
「ござぁ~や、ねござは、いりまへ~ん」

寝茣蓙やみな半分寝てしまいますのです。代表的なのはと申します
と金魚屋さんでございますねぇ。前と後ろのタライにぎょ~さん金魚を入れ
ましてね、朸・天秤棒といぅやつで差し担いでございます。

 「きんぎょ~えぇ~~、きんぎょぉ~~~」
「きんぎょ~えぇ~~、きんぎょぉ~~~」

夏の風物詩、無くてはならんもんでございますね。
あの立て前でもって、前と後ろのタライの水を抑えているのやそぉでございます。

 タライにはいっぱい水が入っておりますので、えぇ加減に歩きますといぅ
とそれががぶって表へ溢れますからな、あの立て前でもって納めているのや
そぉでございます。

 「きんぎょ~えぇ~~、きんぎょぉ~~~」
(両腕を広げてユラユラ)前と後ろのタライの水が……、
(両腕を広げてユラユラ)中で金魚が……

 夏の炎天下でございます。お日ぃさんが(頭を突き出して、上から日射の
手つき)照り付けております。家ん中は生暖かぁ~いところへさして、涼しぃ
風がサァ~ッと吹いてくる、風鈴がリリリ~ン、それでのぉても眠(ねぶ)とぉ
なってるところへ遠くのほぉから、この金魚屋さんの声が聞こえてまいりま
すといぅと、自然と頭が細こぉ前へ動いて、終いにはゴトォ~ンと寝てしも
たそぉでございます。

 それでのぉても眠とぉなってるところへ、遠くのほぉから
「きんぎょ~えぇ~~、きんぎょぉ~~~」(前かがみになって、体は前後に揺れている)
「きんぎょ~えぇ~~、きんぎょぉ~~~」(前かがみになって、体は前後に揺れ、
段々前へ倒れ、やがて高座の床にオデコをゴツンッ!)

 落ちるタイミングが難しぃ。

 これを起こしに来るのが氷屋さんです。
カチワリ「うぇ~ッ、かちわりや、かちわりや、かちわりやッ、どいてくれどいてくれッ」
反対にやるとおかしなもんやそぉでございますねぇ。
あの金魚屋さんが氷屋さんのよぉに大きな声で「きんぎょ、きんぎょきんぎょ」
金魚みな、ゴツン・ボコン・ゴツン。

 氷屋さんが金魚屋さんのよぉに
「こぉ~りぃ~や、こぉりぃ~、つめぇ~たぁ~い、こぉりぃ~~」
「氷屋、一杯おくれんか」
「あかぁ~ん~、とぉけたぁ~」

みな融けてしまいます。

 反対に冬の売り声はと申しますとうどん屋さんでございます。真冬真夜中、
北風がヒュ・ヒュ・ヒュ~ゥ~ッ、吹いておりますよぉな寒ぅ~い晩に、遠
くのほぉからこのうどん屋さんの声が聞こえてまいりますといぅと、寂しぃ~
よぉな、悲しぃ~よぉな、そしてどっか暖ったか~いよぉな、何とも言えん
気持ちがいたしましたそぉで。

 ♪うどぉ~~んえぇ~ ♪そぉ~やぁう~~~

■歩け歩け。
●歩いてるやないか。
■もっと早よ歩けちゅうねん。
●そない早よ歩かいでもえぇやないか、寒っむぅ~。清ぇやん寒いなぁ、けどオモロたなぁ。
■昔から「ひやかしは郭の一の客」ちゅうたぁんねん。オモロイに違いないわい。

●ホンマやで、明日の晩もまた行きたいねぇ
■行ったらえぇやないか。
●ありがたいこっちゃ、寒っぶぅ~。清ぇやんわいいつも思うんやけどね
■何思うねん?
●こぉしてやねぇ、おっ月さんの冴えてる晩はいつもより寒ぶいよぉな気がするんやどねぇ。

■アホなこと言ぅな、お月さんが冴えてるよって寒いのんと違うやないか。世間が冷えるよって、それだけお月さんが冴えて見えんねやないか。そこんとこ、はっきりしとかんとどんならんぞ。
●あ、そぉ。面白いこと言ぅたねぇ。お月さんが冴えるさかい世間が寒いんやなしに、
世間が冷えるよって、それだけお月さんが冴えて見えるんかいな。

■そぉやがな
●な~るほど、こんなんよぉ聞ぃとかなあかんねぇ。ほな何やねぇ、芋を食べるさかい屁ぇが出んねやなしに、屁が出るさかい芋食べんねんねぇ。
■……、わけの分からん理屈言ぅな。そんなんを屁理屈言ぅねん覚えとけ。そらそぉと、お前腹減れへんか?
●昼から何ぁんも食べてへんねん、泣きそぉなぐらいペコペコや。

■何ぞ食おか、うどん食ぅか?
●嬉しぃなぁ、この寒ぅい晩に熱ぅいうどんが食えるやなんて、こんなありがたいことあれへんがな。
■よっしゃ、ほな食お。持ち合わせあるか?
●え?
■銭あるかっちゅうねん?
●ちょっと待っててや……、あんまり無いけれどねぇ、ひぃふぅみぃよぉいぃむぅなぁぁ、八文あるわ。

■何が?
●八文あるちゅうてんねん。
■八文てどんな八文や?
●どんな八文て、八文やがな
■たったかい?
●立ったも座ったも寝転んだも八文や
■つまり八文か? おいおい、えぇ年した男が八文ぐらいの銭、後生大事に持ってるてなこと情け無いわい。そこらへバ~ッとばら撒いてしまえ。

●偉そぉに言わんでもえぇやないか。偉そぉに言ぅて、お前何ぼ持ってんねん?
■お前らとおんなじよぉにすなよ、無い無い言ぅたかてシュシュ~ッとひぃふぅみぃよぉいぃむぅなぁ……、七文出てきたやないか。
●七文てどんな七文や?

■どんな七文て、七文やがな。
●たったか?
■立ったも座ったも寝転んだも七文や。
●おんなじよぉに言ぅな、つまり七文やろ。
■つまり七文や。
●お前、年は何ぼになるねん?
■偉そぉ言ぅな、こっちかせ……
●二人合わせて十五文ではしゃ~ないがな。
■十五文でうどん食お。

●うどんは二八の十六文やで。十五文では一文足らんやないか?
■何を言ぅてんねん、それぐらいのことはこっちに任しとけ。
●一文足らんねんで?
■任しとけちゅうねん。
●それにしたって、一杯しか食われへんがな、どぉすんねん?
■半分わけにせなしゃ~ないやないか、贅沢言ぅてられへんわい……。ちょ~どえぇ、向こぉにうどん屋荷ぃ出しとぉる。

うどん屋、一杯おくれんか
★へ、お越しやす。すぐにいたしますで。
■まぁ待っとけ。わいが先に半分食ぅてちゃんと残しといたるさかい……。
でけた?早いやないか、ありがたいやないか。この寒っぶぅ~い晩にやで、熱っつ~いうどんがシュシュ~ッとすぐに出来るやなんて、それだけでもゴッツォ~(ご馳走)で。おっきありがと。

■長いこと待たされるん、かなんわい(ふッふッふゥ~、ずゥ~~~~)えぇダシ使こてるやないか。うどんちゅうのんは粉ぉが少々悪ぅても、ダシが肝心や。ホンマもんのダシ使こてるやないか、ありがたいやないか。

■(ふッふッふゥ~、ずッ、ずずゥ~~)ん、なかなか、うどんも腰がある。腰があるとこへさしてツルッとしてる、ありがたいこっちゃねぇ「こしつる」ちゅうやっちゃ(ふッふッふゥ~、ずッ、ずずゥ~~)結構けっこぉ(ずッ、ずずゥ~~ ずッ ずずゥ~~)……。

■引っ張りないな、いま食いかけたとこやないか。分かってるがな、恐い顔すな。いま食いかけたとこや、半分なったら残しといたるがな。俺も男や、嘘言わへんがな(ふッふッふゥ~、ずずゥ~~)……、引っ張りなっちゅうねん、お汁(つゆ)がこぼれてしもたら何にもなれへんやないか。見てみぃ、うどん屋のオッサン、顔見てニタッと笑ろてるやないか。

■えぇ男が一杯のうどん、引っ張り合いしてるてな、アホなことすな。残しといたるっちゅうねん(ふッふッふゥ~、ずッ、ずずゥ~~)……、怒っこるで、しまいに。食いたいのんか? 何ちゅう顔してんねんヨダレ垂らして。
情っさけないやっちゃなぁ~……、食いたけりゃ食たらえぇがな。

●食ぅわい、食ぅがな。お前らずっこい、ずっこい、先いきやがってからに、何ですか……? 清ぇやん何ですか? これ八文のうどんですかい?
■せやないか。
●……、せやないかて、うどんが二筋ほど泳いでるだけやないか。
■子どもみたいな声出してんと早いこと食てまえ。
●く、食わいでか……

●せやから引っ張ってんのに(ずッ、ずずゥ~~)し、しまいやぁ。汁ばっかりやがな(ずッ、ずずゥ~~)もぉしまいやがな。
■泣き声出さいでもえぇやないか。鉢返しとこ
★おっき、ありがとさんで。おかわり付けまひょか?
■いやもぉえぇ、銭が細かいんで手ぇ出してもらいたい。

★さいでやすか、ありがとぉさんでございます。
■いくで、一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つと、うどん屋いま何ドキや?
★確か……、九つで。
■十ぉ、十一、十二、十三、十四、十五、十六と
★へっ、おおきありがとさんで。

■出といでや。
●うぉ~~い、清ぇやんちょっと待って、待って~。清ぇやんえらい嘘つきやなぁ。
■何が嘘つきや?
●せやないか、お前十五文しか持ってない言ぅて、ちゃ~んと十六文持ってたやないか。
■何を言ぅてんねん、十五文しか持ってへん。
●そぉかて、うどん屋のオッサンにちゃ~んと十六文渡してたがな。

■お前、気が付かなんだんか? アホやなぁ、よぉ聞かんかい「一つ二つ三
つ四つ五つ六つ七つ八つ」までいって「うどん屋、いま何ドキや?」て、ト
キ聞ぃたやろ「確か九つで」言ぅさかい「十ぉ、十一、十二、十三、十四、
十五、十六」と、こぉいったんやないか。

●えぇ? 何やて「一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ」までいって「うどん屋、いま何ドキや?」て、トキ聞ぃたら「確か九つで」「十ぉ、十一、十二、十三、十四、五、十六」ほぉ~……「九つ」オッサン数えよったんか。なぁ~るほど、こらオモロイ……、わいもあした行ってやったんねん。

■あけへんあけへん、お前らに出来るかいな。こら息と間ぁのもんや、お前らみたいなボヤ~ッとした人間に出来るかいな。
●何言ぅてんねん、お前に出来てわいに出来んことないわい。わいやったる、さいなら~ッ。

 

 アホが帰りまして、あくる日になりますといぅと嬉しぃもんで、小銭袂に
入れて宵の口からうどん屋探して歩いとぉる。

 

●夕べはオモロかったがな「いくで、一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ」までいって「うどん屋、いま何ドキや?」ちゅうたら「確か九つで」「十ぉ、十一、十二、十三、十四、十五、十六」ありがたいなぁ~、一文ぐらいごまかしてもどぉ~ちゅうことないけれどもや、シュッシュ~ッと事運ぶと気持ちええやないか。

●清ぇやん言ぅとったなぁ「こら息と間ぁのもんや……」せや、言ぃよった通ぉ~りに言ぅたったらえぇねん。通ぉ~りに言ぅたったら、おんなじ息と間ぁになるんやがな。こんなことに思い及ぶやなんて、わいもなかなかしっかりしてるわい。どこぞにうどん屋は……、あんなとこに荷ぃ出しとぉる。

うどん屋、一杯付けてんか。
★しばらくお待ちを……。
●ホンマやでうどん屋、ホンマやで、ホンマやでうどん屋、ホンマやでうどん屋
★喧しぃなぁ、どないしたんで?
●どないした? この寒っぶぅ~い晩にやで、この寒っぶぅ~い晩に
★きょうはだいぶに、暖ったこおますで。

●そぉ、きょうはだいぶに暖ったかいけれろもですねぇ、きのうは寒ぶかったやろ
★きのうは寒むおました
●せやろ、あんな寒っむぅ~い晩にやねぇ、シュッシュ~ッと熱っつぅ~いうどんが出てくるちゅうのは、ありがたいこっちゃけれろも……、まだでけへんのんか? 湯ぅが沸いとりませんでした?そらそっちにも色々都合があるわい。

●シュッシュ~ッと出てくるのんもありがたいけれろも、しばらく待たされて「早いこと食いたいなぁ」と思てるとこへ出てくるのんもありがたいもんや。何なと思わなしゃ~ないわい。まだでけへん? もぉ間もなく? そらそやろ、だんだん出来ていくわい。だんだん出来ていかんことには噺前に進まんわい。

●でけた……? でけたでけた、おっきありがとぉ。ホンマやでうどん屋、言ぅとくけどうどんてなもんはダシですよ。粉ぉは少々悪ぅてもダシですよ。お前とこみたいに結構なホンマもんの(ふッふッふゥ~、ずゥ~~~)ウッ、塩辛らぁ。からいダシやなぁ……、湯ぅまわしたら二杯分飲めるなぁ。

●ダシはからいけれどもや、粉ぉがしっかりしてるわい。腰があるとこへさしてツルッとしてる(ふッふッふゥ~、ずッ、ずずゥ~~)ん、ぐにゃ……、グニャグニャやねぇ、うどんのお粥(かい)さんやねぇ。まぁ、このほぉが腹当たりがやらこぉてえぇやろ、結構ぉなこっちゃ。

●(ふッふッふゥ~、ずッ、ずずゥ~)グニャグニャやがな……(ずずずゥ)かっらぁ~……、引っ張りな、引っ張りな、何ちゅう顔してんねんやらしぃやっちゃなぁ。
★……? あんた何言ぅてなはんねん? 大丈夫ですか? 他にどなたも……
●やかまし言ぃな「息と間ぁ」のもんじゃ、ダ(黙)~ってぇ。

●(ふッふッふゥ~、ずッ、ずずゥ~)グニャグニャやがな……(ずずずゥ)かっらぁ~……、引っ張りなや、お汁(つい)がこぼれるやろ。うどん屋のオッサン顔見て笑ろてるぞ……。
★笑ろてぇしまへんで、わて。どっちか言ぅと気色悪ぅなってまんねんで……、誰か通らんかいなぁ。

●ダ~ってぇ、息と間ぁのもんじゃ(ふッふッふゥ~、ずッ、ずずゥ~~)グニャグニャやがな(ずずゥ)かっらぁ~……、引っ張りなっちゅのに、そない食いたいのんか? 食いたけりゃ食ぅたらえぇがな「食ぅがな、食ぅがな、食わいでかい」
★何言ぅたはりまんねん、誰ぁれもいてはれしまへんやないか、大丈夫でっか?

●何かい、このうどんが八文かい?
★ほかのことゴチャゴチャ言われてもよろしぃですけど、値ぇだけはハッキリさしときまっせ。十六文でっせ、八文てなうどんおませんで。
●やかまし言ぃなちゅうねん……、こんなうどん残しやがって、うどんが二筋ほど泳いでるだけやないか。

★あんたが食べなはったんやおませんか。
●(ずッ、ずずゥ~~)汁ばっかりやないか。
★せやから、あんたが食べなはったんや。
●このからい汁、みな飲まなあかんのかぁ(ずッ、ずずゥ~~)かっらぁ~……、もぉしまいやないか。
★あんたが食べなはってん。

●オッサン、鉢返しとこ……、夕べと一緒や。オモロなってきたなぁ。うどん屋、何か忘れてないか?
★何でんねん?
●ひと声かけて「おかわり一杯付けまひょか」いぅやっちゃ。言ぅてもらわんとどんならん。
★忘れとりました、言わしてもらいまひょ。おかわり付けまひょか?

●要らんいらん。
★い、い、言わしなはんな。
●夕べとちょっとも変われへん。うどん屋、銭が細かいんでちょっと手ぇ出してんか
★おっき、ありがとさんで。
●いくで、うどん屋……、気の毒な
★何が気の毒で?
●いくで……。

●一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つと、うどん屋いま何ドキや?
★へぇ、五つで
■六つ、七つ、八つ、九つ……

 三文損しよった。

 

どうですか?

おもろいですか?

 

上方はテンポよく関西弁でいきますので、はまると面白い。

これは珍しい米朝師匠の時うどんというネタです。

 

 

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江戸の小噺 十

それから

 

男1「考えてみれば、私も女房も、25年間は幸せに生きてきたんだよなぁ。それなのになぁ、、、」

男2「えっ、二人に何があったんです?」

男1「聞きたいかい。

男2「そりゃもちろん、聞きたいです。」

男1「そうかい。それから二人は出会っちまったんだよ。」

 

 

というわけで、今日もよろしくお願いします。

 

 

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【嫁の乳】

嫁があって、至極器用でよく働き、親父の月代(サカヤキ)を剃ってやる時、
美しき肌(ハダエ)の乳が、親父の唇へさわった。
親父我を忘れて嘗める所を、息子見て大きに腹を立てて,
「さてさて親人にはあるまじきなされ方。女房が乳を嘗めての戯れ,ご所存の程が承りたい」と、
きめ付くれば、親父開き直って、
「おのれは,おれが女房の乳を,五年というもの,食らつたではないか」

 

まぁ、男という生き物はまったく、というお話です。

 

今日のところは短くこんなところで。

また明日お楽しみに。

 

 

江戸の小噺 九つ目

ねずみの嫁

 

 ねずみのお嫁さんが、嫁ぎ先から、実家の方へ戻ってきてしまいましたので、お母さんが大変心配しまして。

お母さん「どうしたんだい、どうして、帰ってきちゃったんだい。」

お嫁さん「向こうのお舅さんがねぇ。」

お母さん「やかましいのかい。」

お嫁さん「やさしすぎるのよ。」

お母さん「やさしいなんて、そりゃいいことじゃないかい。」

お嫁さん「だってぇ、猫撫で声。」

 

 

ということで、本日もたくさんの方に楽しんでいただきます♫

舅さんの猫撫で声には下心を感じますねぇ。

 

 

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さて、江戸には面白い商いがあったもので、こう、通りを商いの声を上げながら行ったものらしいです。

お互いの商いが都合よくないものもあったりして、まぁ喧嘩になりかけたりするもんです。

江戸っ子なんて喧嘩っ早いと決まってるらしいですが、中には仲裁するのも出てきます。

 

 

下金屋

 


 昔は、いろいろなものを売ります時に、売り声、なんてぇのを使って売りましたもので。

いわし屋「おお、いわしこぉ、おお、いわしこぉ。」

ふるい屋「ふるーい、ふるいふるい。」

いわし屋「何言いやがんでぇ、今朝河岸から買ってきたばかりだ、ぴんぴんしてんだぞ、古いとはなにごとだ。」

ふるい屋「いや、あたしはあなたの品物が古いって言ってるんじゃない、あたしは、このふるいを売っている、生粋のふるい屋だ。」

いわし屋「ふるい屋だぁ、妙な商売がきやがったなぁ、俺は生物扱ってるんじゃねぇか、その後から、ふるいふるいっていやぁ、俺の品物が古いように聞こえるじゃねぇ

か、先やれ。」

ふるい屋「先でも後でも、あたしはこれさえ売ればいいんだから。」

いわし屋「先やれよ。」

ふるい屋「へい、ふるーい、ふるいふるい。」

いわし屋「いわーし、駄目だよ、古いいわしになっちゃうよ、他回らねぇと、はったおすぞ。」

下金屋「おいおい、お待ちお待ち、手商人が往来で喧嘩しちゃあいれない、お互いのお得意様しくじっちゃうじゃあないか、どうして、喧嘩するんだい。」

いわし屋「喧嘩したくないけども、喧嘩になっちゃうんだ。」

下金屋「なっちゃうって事はないだろう、どうしてだい。」

いわし屋「俺が、こわしこぉ、ってぇと、こいつが後から追っかけてきやがって、ふるいふるいってやがる。」

下金屋「お前さんは、何を売ってるの。」

ふるい屋「あたしは、この、ふるいを売って歩いてる、ふるい屋。」

下金屋「これは、面白い商売が落ち合ったな、生物の後からふるいふるいは、気に触るだろ、どうだい、仲裁人は時の氏神ってぇ事を言う、あたしにお前さんたちの仲、保

たせないか。」

いわし屋「お前さん、商売はなんだい。」

下金屋「下金屋だ。」

いわし屋「下金屋。」

下金屋「うん、売るんじゃあない、方々様から、いらなくなった金物類を、買って集める商売だ。」

いわし屋「なんだか知らないけど、お前さんの売り声で、上手くいくの。」

下金屋「あたしの売り声を聞いてごらん、まるぅく収まる。」

いわし屋「なんだか知らないけど、頼むよ、おー、いわしこぉ、おー、いわしこぉ。」

ふるい屋「ふるーい、ふるいふるい。」

ってぇと、後から下金屋さんが。

下金屋「ええ、ふるかねぇ。」

取り消して歩いたそうで。

 

下金屋なんてぇのは、今は全く聞きませんが、要するにくず鉄を集めて、それを売ってる商売です。まぁ、商いがうまくいきゃぁ誰も文句はないわけで、これはこれで丸く収まってます。

 

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江戸の小噺 八つ目

【貧乏神】


貧乏神が来て,家にずうっといるのでくらしが楽にならない。

説教をきかせたら退屈して出ていくだろうと思って,説教語りを連れてきて

『安寿姫と厨子王』

をながながとやらせてみた。

そうしたら、貧乏神が家から涙を流して出ていく。

「貧乏神さん,お帰りか」

と聞いたら,

「いや,あまりいい説教なので,ひとりできくのはもったいないから仲間を連れてくる。」

 

さて、今日もよろしくお願いします。

 

扇子

 

男一「おまいさん、なんだね、せんす一本あったら、何年使う。」
男二「自慢じゃありませんが、あたしは、せんす一本あったら、十年は使いますよ。」
男一「自慢しちゃあいけない、一本のせんすを十年なんて、そりゃ使い方が荒い、乱暴だよ。」
男二「乱暴だって、一本のせんすを十年使えば、こりゃ十分だと思うけれども、じゃあ、おまいさんは何年使うね。」
男一「あたしゃ、自分の代では使いきれません、あたしと同じようにやらせれば、孫の代までもたせますよ。おまいさんは、sんすを十年って、どうやって使うのかい。」
男二「ま、いろいろ考えたんだけどもね、これ、いっぺんに広げれば、いっぺんに痛んじゃうから。まずこっちはんぶん広げて、これで五年もたせるんだね。
で、こっちが痛んできたら、もう半分の方を広げて、これで五年もたせる。
しめて十年もたせるつもりではいるんですけど、おまいさんは、孫の代まで使わせるって、どうしなさる。」
男一「あたしゃ、君みたいに、半分広げるなんて、しみったれた事はしませんよ。
あたしは、こうせんすをいっぱいに広げてね、顎の下へ持ってくる。
で、よく考えてみれば、これせんすを動かすから、痛む。だから、顔の方をこう動かす。」

これじゃ、風もなにもきやあしません。

 

 

 

 

今日もお付き合いいただき、ありがとうございます。

だんだんと寒くなってまいりますので、皆様方、お体には十分にお気をつけて。

ではまた明日おつきあいください。

 

 

 

 

江戸の小噺 七つ目

四本足

「ああ,四本足結構,何でも食うよ。だが,コタツだけはいけないよ」
「どうしてコタツだけ食えないんだ」
「あれはアタル(中毒)もんだから」

とんでもない輩がいたもんで。

まぁ、これも粋に返しているという見本のようなもの。

 

 

さて、今日も一つおつきあいを願います。

 

 ラーメン屋

あるところに、ラーメン屋さんが三軒並んでおりまして、
一番右の主人が
『日本一お いしいラーメン』
看板を出しました。すると、一番左の主人が

『世界一おいしいラーメ ン』
看板を出しまして、
さあ、真ん中の主人が困っちゃって、
出した看板が
『入り口は こちら』

 

 

今日は調子に乗って、もう一つ。

 

親子三人馬鹿 

 

落語の方には、よく馬鹿が出てまいります。
この馬鹿でございますが、馬鹿にもい ろいろ種類がありますようで。
四十八馬鹿、あるいは百馬鹿。
色気のがあるかと思うと、 食い気のがあったり、さまざまでございましす。
中には、兄弟で馬鹿、親子で馬鹿なんてんで。

「あんちゃん、あんちゃん、一年ってのは、十三か月だな。」
「馬鹿だな、そんな事を言ってるから、近所の人が、みんなお前の事を馬鹿だ馬鹿だって言うだ。
一年は十三か月じゃねぇ、十四か月だ。」
「そんな事ないよ、あたい、今聞いてきたんだから、じゃ、数えてみようか、一月二月三月四月五月、六月七月八月九月十月、ううん、十一月十二月お正月、ほらみろ、やっぱり十三か月じゃねぇか。」
「馬鹿、お盆が抜けてら。」

なんてね。てめぇの方がよっぽど抜けております。

「あんちゃん、来年のお正月とお盆は、どっちが先に来るのかい。」
「そんな事は、来年にならなきゃ分からないじゃないか。」

ってぇと、それを聞いていた親父が。

親父「うん、さすがに兄貴だけあって、考えがしっかりしている。」

なんて、変な親子があったもんで。

これもある愚かしい弟が、夜道端で物干し竿を振り回しておりまして。

「おい、お前なんやってんだい。」
「あ、あんちゃんかい、あのね、今お空でピカピカ光っているお星様がきれいだら、この物干し竿で、取ろうと思って。」
「馬鹿、こんところで、物干し竿振り回したって、星なんて取れるもんか、星はもっとうんと高いところにあるんだぞ。」
「そうなの。」
「当たり前だ、屋根へ上がれ。」

というわけで、二人で屋根へ上がりまして、物干し竿を振り回しておりますと、それを親父が見つけまして。

親父「おおい、おまえたち、何をやっているんだ。」
「あ、おとっつぁんかい、いまね、おとのやつが、お空で光ってるお星様取ってくれってぇから、この物干し竿で取ろうと思って。」
親父「馬鹿、そんな所で、物干し竿振り回したって、星なんざ取れやしねぇ、降りてこい、降りてこい。」
「じゃ、おとっつぁん、あのお星様ってのは、いったいなんなんだい。」
親父「いいか、よーくおぼえとけ、あれは、雨の降る穴だ。」

 

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江戸の小噺 六つ目

 

圓生百席(14)紺屋高尾/後家殺し

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後家が一番

長屋の男どもが寄り集まって,女の品定め。


「うぶな振袖がいい」
「なんといっても年増にかぎる」
比丘尼もいいな」
「いやいや,後家さ。後家がいちばん」

後家が一番と意見一致。

「アーア。俺の女房め,はやく後家にならんかなア」

 

とまぁ、長屋の男どもなんてぇのはこんな奴らばっかだったらしいです。

知りませんですけどね、昭和生まれだから。

 

今日もよろしくお付き合いください。

 

夕立屋という小噺でございます。

 

夕立屋

 

「暑いねぇ、こういう暑い日には、一雨ざーっと来てくれるとありがたいんだけど。」
夕立屋「えー夕立や夕立、えー夕立や夕立。」
「なんだい、あの夕立屋ってのは、雨を降らそうってのかな、面白い、呼んでみよう、 おおーい、夕立屋。」
夕立屋「へい、毎度ありがとうございます。」
「お前さん、夕立屋ってぇくらいだから、雨を降らせるのかい。」
夕立屋「へぇ、さようでございます。」
「へぇ、で、いくらなんだい。」
夕立屋「へぇ、これはもうほんのおこころざし程度で結構でございます。」
「そうかい、じゃさっそく、三百文ほど降らしてもらおうか。」
夕立屋「へ、かしこまりました。」

なんてんで、男はしばらく呪文を唱えておりましたが、やがて雨がざーっと降ってまい りまして。
「おや、おかげて涼しくなったよ、だけど、こうして雨を自由に降らせたり、止ませた りできるなんて、お前さん、ただの人間じゃないね。」
夕立屋「はい、実はわたくしは、空の上に住んでおります、龍(たつ)、でございます。」
「なるほど、道理で不思議な術を知ってなさる、だけどねお前さん、夏暑い時は、こう してお前さんが、雨を降らしていれば商売になるけど、冬、寒くなったら、商売はどう するんだい。」
夕立屋「へぇ、寒くなりましたら、倅の子龍(炬燵)をよこします。」

 

今日はこんなところで。

ではまた明日。